長野は隠れ「うどん」県? 信州ならではのローカルうどんたち
あなたは「うどん」といえばどこの県をイメージしますか?「讃岐うどん」で有名な香川県?「稲庭うどん」の秋田県でしょうか?
実は、うどんのイメージがあまりない、信州・長野県でも個性豊かなうどんが存在します。無料メルマガ『郷愁の食物誌』では、どこか懐かしい信州のうどんの魅力を紹介してくれています。
少年時代のうどんの思い出
その昔の少年時代、うどんといえば母の作った煮込みうどん。このうどんがもうたまらないほど大好きだった。父なんか麺類は嫌いだったけれど、子供たちはよく作ってとせがんだものだ。
釜や大鍋でぐつぐつ煮たうどん。何杯もお替わり、余りに食べ過ぎては翌朝血がみな胃に下がってしまうのか、ひどい頭痛と吐き気に襲われることがたびたびだった。
野菜や油揚げが入っていても、あまり肉が入っていた記憶はない。それはあくまで店で売っているゆであげのうどんでなく、手作りの煮込みうどん。
とりわけ格別なともいえる味のでもないかもしれないが、大人になっていろいろな店の煮込みうどんを食くらべた今でも決して忘れられない味、おふくろの味である。
高校を卒業後、京都へ出て行ってはじめて冷やしうどんを食べた。まだ貧しい時代、外食することも滅多になく、わが家ではうどんとは、オール母の手作りの煮込みうどんのことだった。
街で売っているゆであげのうどんでさえ、それ以前食べた記憶もなければ、釜揚げうどんや鍋焼きうどんにも縁がなかった。家族でましてや一人で食堂で食事をとる機会の少なかった時代、料理とは食事のメニューとは、母の作る献立がすべてだった。
もっとも乾麺の冷や麦やソーメンは食べてはいたのだが、ゆで上げの冷やしうどんをつけ汁で食べることは知らなかったので、こういう食べ方もあるのかとちょっとびっくりしたことを覚えている。もっともたまたまそうだったにすぎないが。
なにしろこの冷やしうどん、中身は素うどんにイコールなのだが、なによりも学校の生協の食堂で一番安いし、それなりに味も気に入ってよく食べたものだ。
江戸・東京では蕎麦だが、関西では麺といえばうどんがその代名詞である。京大阪で多分初めて味わったけつねうどん、かやくうどん、しっぽくうどん鴨南蛮、うどんすきなど印象深い。